
第3世代型のアートマネージメントというのは、比較的日常生活圏と申しましょうか、近隣住区と申しましょうか、人口数千規模の小規模文化圏におきます小規模施設にわりと多いタイプのものではなかろうか、そういうような気がするわけでございます。 こういうような3つのタイプのそれぞれにおきまして展開されていらっしゃいます事業に、大きく鑑賞型と創造型というような2つタイプがあるのは周知の事実でございまして、平成6年度におきますところの自主文化事業の実施、創造型的な感じも含めたそういう実施で言いますと、全国では76.2%が実施をしていらっしゃる、道内では67.9%のホールが何らかの自主文化事業の実施をしていらっしゃるということでございますから、その中のかなりの部分が創造型的のものも入っているのではないか、そのように思うわけでございます。 さらに、そういう自主文化事業の実施におきますところの収支比率にっきましても、全国の収支比率が0.53、全道が0.48ということで、入場料収入と総支出がほぼバランスがとれる方向にあるということのようでございまして、入場料が大体半分くらい入っている、そういうような状況もあるようでございます、そのようなことで、地域や館の状況によりまして、創造型と鑑賞型の事業を選択していくということになるわけでございます。 しかし、考えてまいりますと、日本ではクラシックと呼ばれている鑑賞型の事業を選んだ場合でも、例えばシューベルトの歌曲の演奏会を選んだとしましても、もともとシューベルトの歌曲の多くは、あの近辺の、日本で言えば民謡のような地域芸術でございますから、庶民の生活から生まれたそういう音楽芸術を都会ぶりの知識人的な洗練さを加えて歌曲に仕上げたものでございますから、もとをたどっていけば、みんな地域芸術であり、地域文化となるわけでございます。したがって、鑑賞型といっても、鑑賞型の演目は、もともとは創造型のものとしてでき上がったもの、それをある程度コマーシャリズムのネットワークの中で興行的に流してはいるけれども、もとをたどっていくと、それは創造型から出発しているわけでございます。 私たちが今一番考えるべきところは、自分のそれぞれの小さな地域で、その地域の文化というものをできるだけ高密に洗練させていって、洗練というのは決して標準語でなんていうことじゃなくて、例えば津軽語なら津軽語の演劇というものを最高度に質的に高いものにして、そこから発信できるものにしていく。そうしますと、全国巡回をすれば、それは期せずして鑑賞型の演目に変わっていくわけであります。したがって、私たちが今一番考えねばならないことは、まずすべては創造型であったということです。新しい鑑賞型の
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